遺伝子情報のパテント化、知的財産化は自然の私物化であり、しかも知的財産化によって保護されるのはそのための先行投資のみであり、それを取り巻く周辺領域の発展に寄与するどころか阻害している。と言う主張はもっともだと思います。
万有引力の定理がパテント化されていたら、相対性理論も出てこなかったかもしれません。
ピタゴラスの定理がパテント化されていたら、幾何学は数秘教のままですね。
アメリカを中心とした製薬会社の既得権と大学の産業化、利益法人化の流れの中で見逃されていた視点かもしれません。
学問の自由、大学の独立性はどこに行った?
そのほかバイオテクノロジーについて、マイケル・クライトンの言いたかったことは下巻の「解説」にあります。
本編は基本的に独立した以下の4つの話が平行的に同時進行し、最後に無理やり中途半端に収斂してクライマックスとなります。
1.抗癌遺伝子を持つ家族と製薬会社の法廷闘争とマンハント(これが全体の流れを作っています)
2.喋るオラウータンとそれを狙うジャーナリスト
3.人間(ヒューマン)とチンパンジーのハイブリッド、ヒューマンジーと親である研究者
4.知的能力を持つオオムの流転人生
先端技術の紹介で始まり、中盤で近未来的恐怖に伴うストーリー展開があって、後半怒涛のようにクライマックスまで一気になだれ込むようないつものクライトン節は不発気味です。
下巻の「解説」だけ読むのもありかも。
本編なしで読んでも同様の説得力があるかどうかが気になります。