空虚な間を持つ不思議な「NEVEREND」(非常にASKA独特な世界の曲)では、こうも心の隙間に降りてくる曲があるとは、と驚く簡潔な曲。しかしその淡々とした旋律に、ゆっくりと飛鳥の歌声が波のように入ってくると、白黒の記憶にだんだんと色彩が付いてくるようで、妙に泣かせる、ぐっとくる力がある。
作品は1「晴天を誉めるなら夕暮れを待て」10「月が近づけば少しはましだろう」という雄雄しく圧倒的にタフな力強さと華麗さを兼ね備え、聳え立つ巨木に挟まれている。こういうスケールのでかい曲を完璧にまとめられるのはASKAだけの音楽だ。同様に彼らしさでいえば、「日常」に根ざし軽快で癖になるサビを持った曲、一方でこれも彼らしい「非日常」の心象風景に根ざした視線を喚起させる曲、そして沢田研二の名曲「君をのせて」、セルフカバーになる「オンリー・ロンリー」などの充実、メロディアスな曲など、作品はどこを切ってもASKAの音楽性が幅広く、そして濃く反映されている。
「HELLO」は単独でもTOPを飾れる曲だが、1の後を任されることで、作品の顔である開始3曲の要として今作の充実度を物語る。「nextdoor」もPOPSという領域を越えそうな深さを持つ。ただ惚れた晴れたのレベルではない。「はるかな国から」は当時相次いだ“いじめによる自殺”という時代性が刻まれていた。
そしてやはり凄いのが10だ。心の中をどんどん潜ってゆき、自分以外誰も立ち寄れない心の中の小さな滝の流れる傍まで描く。この詞は、現代に於いて傷ついたり病んでゆく人の心を代弁するような深さだ。悩みや闇が自分を追い込み眠れぬ夜を経験した事のある人なら、共感できる詞。朝、太陽の光が現れるだけで少し元気になれる、あの時の心境を浮き彫りにする。