四人囃子最後の作品であり「完成度」という点からするとおそらく「最高作」と言える作品。発売当時のLPレコードは黒ではなくナント透明だった。「プログレ」というとクラシカルで壮大な音絵巻を連想しがちだが、このアルバムは当時沸き起こっていた「ニュー・ウェイブ」と「テクノ」のエッセンスを加味した「ニュー・プログレ」とも呼べるジャンルの提案だったものと理解している。とにかく各楽曲が変則コードと変則リズムの切り替わりで疾風のごとく駆け抜けて行く印象だが、基本的には全て生身の人間の演奏である事が凄い。これら佐久間正英の知恵を具現化するのに大きな役割を担っているのは、久々参加の茂木由多加(Key)である。どちらかと言うとポップなバラッドが好きで、且つ和音中心のプレイを好む坂下秀実はこのアルバムには参加しておらず、スペイシーなプレイを得意とする茂木を起用し持ち味を巧みに引出した佐久間の頭脳には恐れ入る。ドラムの岡井大二はあらゆるジャンルに対応出来る巧いドラマーであるから、この作風にも難なく呼応している印象だ。ただ、このアルバムでもギターの佐藤ミツルの良さは生かされていないように思う。佐藤は、あのエディ・ヴァンヘイレンがタップ・オン・トリル奏法をプレイする以前からそれを披露していたほどのギターテクニックを持つギタリストであるが、この作品での各楽曲のギターソロは非常に窮屈に弾かされている印象であり、彼のダイナミック且つテクニカルなギタープレイはデッドな状態で封印されてしまっている。しかし1枚のアルバムとしての完成度は四人囃子中最高の仕上がりであり、メンバーは自信を持って世に出したのではなかったか。結果的に彼らのラスト作となってしまったのは非常に残念でもったいない。キャニオン・レコード最大の失態であった。