N響の最大の敵はおそらく弦楽器とピアノをふやふやにする高温多湿のこの国の風土だろう。これらの楽器は湿度が高くなるとどうしても思うような音が出ない。
’92/10/19日に場所は人見記念講堂で10月なら湿度も低く良いだろうと思っていたミケランジェリのコンサートは夕方から土砂降りと言っても良いほどの
雨だった。空調も湿度も整った環境に調律されたピアノは芸術家の満足する状態であったに違いない。然しびしょ濡れのスーツで入場者が入り空調で暖まった講堂は
たちまち湿度が上がってピアノの状態が変わってしまったのだろう。芸術家は次のコンサートの会場の変更を求めそれにも満足せず残りはキャンセルしてしまった。
不孝なことであるが相手が天候ではどうすることも出来ない。このCDの録音は二月から5月までで湿度は何とかなるギリギリの時期だと思う。録音の状態は良いし
何しろどちらも若くて素晴らしい時期の演奏。ラベルもリストも恐ろしい程の集中力。グルダはウィーンフィル、H.スタインで1−5迄録音した71年よりも前。
完成度も申し分ない。良い録音を残してくれたNHKに感謝。もう一つミケランジェリにはチェリビダッケとやったシューマンがNHKに有るはず。CD化は難しそうだが
何とか頑張って欲しい。