1975年の8・8ロックデイにて衝撃的な本土デビューを果たしたという紫。
そんな彼らのファーストアルバムであるこの作品は、日本ロックの金字塔と呼ぶにふさわしいと言っても過言ではない。
当時の日本のロックバンドとは一線を画す、毎夜の荒くれ米兵相手の修羅場での演奏で培ったテクニック、そして日本とアメリカに翻弄された沖縄という土地に生まれたこと故にかもし出す狂おしいほどの激しさと哀調。
このアルバムにはそれがぎっしり詰まっている。
今となっては切なくなるが植草甚一氏の書くライナーも彼らへの期待感がこめられていて顔がほころんでしまう。
さて、アルバムの中で特筆すべきはインストナンバーの"Maze"。
潮の香りがほのかに香る比嘉のうねるギターサウンドにそれを支える安定した下地のギター、若さと強さをあふれさせた宮永のドラム、負けじとしっかりとリズムを指で刻む城間俊雄のベース、そして、音で万華鏡を作るが如くきらびやかな音色を奏でるジョージ紫のハモンドオルガン。それらが生んだこのインストには圧倒され、曲の長さを忘れてしまう。
このアルバムに捨て曲はないが、"Maze"は是非とも聴いてほしい。
そして、ボーナストラックに8・8で演奏した四曲が収録されているのもうれしい限りだ。
この伝説のバンドの再評価の期待をこめて星5つ。