「HOME」ツアーと全く対をなすセットリスト。これでもかというくらいのシングル曲連発で、聴衆の自律神経を麻痺させ、狂気乱舞させた「HOME」ツアー。それから見れば、今回は「イノセントワールド」も無けりゃ、「tomorrow never knows」も無い。大合唱役は有名とはいえシングルカットではない「彩り」。「ラヴ・コネクション」なんて久々に聴いたよ。
でも、なんでだ?このライブ、恐らくミスチル史上3指に入る豪華絢爛さだ。
恐らく理由はただ一つ。今回のラインナップは、とにかく「聴きたい歌」がたくさん詰まってたんです。
僕が今回、個人的に感涙モノだった曲は、「ALIVE」「ロードムービー」「Drawing」、そしてシングル曲の「箒星」。これらはどれも大型ツアーでは、並み居る「名曲」たちの陰に隠れ、「佳曲」に甘んじていた曲たち。それらで心が震えるのは、おそらく僕が古くからのミスチル好きだからという理由ではないだろう。
MCで桜井さんも言ってた「何年経っても色褪せないライブ」にするためには、色褪せない曲が必要だ。今回、クリスマスの夜、天井いっぱいに響いた曲の数々は、記憶と数多の名曲たちの中に埋もれていたけれど、それでも冒頭のフレーズを聴いたその瞬間に彩り鮮やかな情景が広がっていく、そんな歌で満ちあふれていた。
「HOME」がミスチルの「爆発力」をまざまざと見せつけられたライブとするならば、今回はミスチルの「底力」をまざまざと見せつけられた気分。そんな中で新曲「fanfare」「365日」がスッと溶け込んでいくのもまた、ミスチルならでは。
もう10年近く前のインタビューで、桜井さんが自らのバンドの軌跡を「メビウスの輪」に喩えたことがある。堂々巡りをしていながらも、けれどもどこか違う次元で新たなスタートを切り続けている自分たちを、メビウスの輪の美しい歪みに見立てた。その喩えが相応しいかどうかはともかくとして、こうして新曲が鮮やかさを保ちつつ、今までのラインナップに何不自由なく収まることができるのは、ミスチルの、モンスターバンドならではの包容力だからこそなんだろう。
ボーナストラックのあの名曲も聴けて良かった。とにかく個人的に、微笑みが止まらないDVDでした。