駆け出しのタレント、ブー(マイケル・ホイ)は、マウス・テレビと8年契約を結ん
でいるが、さっぱり出番がない。ある日、一人腐っていたブーの元に、キャッ
ト・テレビからクイズ番組の司会のオファーが来る。ここぞとばかり、全力で司
会に臨んだおかげで、キャット・テレビから契約の申し出を受けるが、それに
は、マウス・テレビとの契約を解除しなくてはならない。早速、弟のチョンボ(リ
ッキー・ホイ)の助けを借りて、ブーは、局長室に侵入して、金庫に収められた
契約書を手に入れようとするのだが…。
視聴率を上げるためなら、どんなことも惜しまない香港TV業界を痛烈に皮肉っ
たドタバタ・コメディの佳作。日本では、Mr.Booシリーズ(ではないのだが)の
第2弾として公開された。自身、TVの司会者として芸能界入りしたマイケル・
ホイだけに、実体験が生かされた(?)TV業界に対する辛辣な視点とブラック
な笑いに満ちた作品になっている。劇中、マイケルが、宇宙人の扮装をする
ことからつけられた(いい意味でデタラメな)邦題も、当時の日本の流行を反映
していて興味深い。
日本で公開されたMr.Booシリーズの中で、一番、身体的、視覚的ギャグ満
載なのが、本作。全編通じて、これでもかというぐらいドタバタ・コメディの素朴
な楽しさを味わわせてくれる一編だ。マイケル(に限らず、真の喜劇人)は、イ
ンテリだが、本作では、TV業界への風刺をベースとしながらも、知的な方向
は目指さず、自身、ドタバタを心底楽しんでいるように見える。その世界の大
先輩である、キートン(追っかけのスピード感)やロイド(高所のスリル)へのあか
らさまな敬意と憧れが実に微笑ましい。撮影時、36才だったマイケル始め、リ
ッキー、サミュエル共に30代の最も脂が乗っている頃だったので、それぞれの
身体的な動きとキレが素晴らしい限りだ。
本DVDは、2005年にユニバーサルから発売された盤同様、香港Fortune
Starのデジタル・リマスターされたマスターを使用したもの。他のMr.Booシリ
ーズ同様、70年代後半の作品としては良好な色合いの画質だ。特典には、
Mr.Booシリーズの予告編集とマイケル・ホイのバイオグラフィー(テキスト)が
収録。「ゴールデン洋画劇場」の広川太一郎氏の吹替えの素晴らしさは言う
までもないだろう。