1791年12月モーツァルトの死により未完となったレクイエムは,弟子ジュスマイヤーの手に委ねられ1792年前半には補筆・完成されたと考えられている。一般には,このジュスマイヤーの補完した版がモーツァルトのレクイエムとして広く演奏されているが,最近ではジュスマイヤーの補筆に対する批判も高まり,フランツ・バイヤーのようにモーツァルトの晩年の様式に合わせた新たな補筆版(バイヤー版等)を提供する学者・音楽家もでてきた。 このスコアーは,ジュスマイヤーにより補筆されたものである。スコアー表紙には天使・聖人らが版画調に描かれ,レクイエムの雰囲気を漂わせている。スコアーの内部はモーツァルトが作曲した部分とジュスマイヤーが補筆した部分とが,パートごとに判別できるようになっており親切である。A4版よりも少し大きく余裕を持って印刷されており,音符の一つ一つやコーラス部分が見やすい。私の愛読するスコアーの一つであり,おすすめできる。