スティーヴ・キューンがジョン・コルトレーンのバンドにいたのは、1960年初春の足かけ3カ月間のこと。コルトレーンは60年代を怒涛のように駆け抜けて'67年に他界したが、キューンは健在で今なお現役ピアニストである。その彼が50年前の共演を忘れられなくて作ったコルトレーン集が本アルバム。しかもECMからリリースされた。これだけでも個人的には本アルバムを購入する動機が100%。
全13曲でTRACK9と13はキューンのオリジナルでソロピアノ、あとの曲はトレーンのオリジナルとトレーンゆかりの曲で4はピアノトリオ。他のメンツはJOE LOVANO(ts,tarogato)、DAVID FINCK(b)そしてJOEY BARON(ds)。もちろんECM独特のリヴァーブの効いた、あのサウンドは健在である。激する曲は10のみで、全体的にシットリとした曲が選ばれているのも良い。特に1の「WELCOME」から始まるスピリチュアル曲3連発は涙なくして聴けない。キューンの抑制の効いたピアノも素晴らしいが、特筆すべきはテナーサックスのジョー・ロバーノの好演。ほどほどにコルトレーンライクな演奏をするが、深くははまり込まないし、きちんと自分を出しているところがさすがはベテラン。そしてメンバーたちのトレーンに対する愛情がヒシヒシと伝わる好アルバム。最後にライナーノートに載っているキューン自身のコメントを以下に記す。
「1960年の1、2、3月にニューヨークのジャズ・ギャラリーで、コルトレーンと一緒に仕事をするという恩恵にあずかった。この8週間を誇りに思い続けるだろう。この音楽は彼に対する深い敬意を表したものである。」