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少年が帰宅すると、父親が母親、姉、兄を殺害し、逃亡した後だった。平和だった家庭で一体何が起こったのか?どうして自分だけが助かったのか?子供のころの記憶を探りながら、主人公がこの謎に迫っていく。
「狂気」を説明する「理性」を探すプロセスがわかりやすいために、「狂気」がより強調される。そのため読者はどうしてもその理由を探りたくなってしまう。ミステリーの最後は多くの場合、anticlimaxだが、この小説は最後までclimaxを保つのに成功している。プロットの面白さと、Cookの文体の優雅さと無駄のなさが、見事に絡み合っている。
極めて良質のミステリーである。
現在のストーリーにカットバックのように過去のシーンを少しずつ混ぜていく。だんだんと明らかになっていく過去の物語が現在のストーリーにかちりとはまった時、物語の全貌は明らかになり、驚愕の結末が描かれる・・・。物語の舞台も陰鬱な風景が多く、心象風景と相まって印象的な場面を描いていく。本作も例外ではない。
1950年代末、アメリカ。9歳の時、父が母と兄姉を殺し失踪したという過去を持つ男が主人公。今では40代に差し掛かり彼自身も家庭を持つが、父のことを書きたいという女性作家が現れたところから物語が始まる。
作家のインタビューに応じるうちに彼の中で封じられていた記憶がだんだんと蘇ってくる。なにが父をそうさせたのか・・・? 想いが父親とシンクロした時、新たな悲劇が起こる・・・。
家族とは何か?家族の中での父親は・・・。成長していく子どもや妻にどう向かい合っていくのか・・・。ミステリー小説の体裁をとっているが、本作で取り上げられた問題は普遍的なものだ。それだけに重く心に残る。陰鬱な物語は哀しさをたたえた静謐なラストに至る・・・。
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