旧盤は95年デジタル・リマスター音源。11年リマスターで音圧が高くなる一方で、ノイズは抑えられている。よりナチュラルな音になったと思う。
69年に映画「モア」のサントラ盤として発表されたピンク・フロイドの3作目。8日で製作されたが、個々の曲は手抜きではない。イメージが眼前に広がるような曲が多いのはさすがだ。前作「神秘」同様60年代末のサイケ文化の雰囲気が濃厚。そのような歴史的背景を理解して向かい合うべき、全部で45分・13曲収録の作品だが、かなり自由に作られ、バンドとして色々試したことがわかる。
「原子心母」「おせっかい」収録の短めの落ち着いた曲が好きだという人は、M1、3、5、6を気に入るだろう。特に「グリーン・イズ・ザ・カラー」は、後の「あなたがここにいてほしい」を予感させる佳曲。アコギ、D.ギルモアのヴォーカル、そして素朴な笛が奏でる美しいメロディーを耳にすれば、この曲が初期フロイドのライヴの定番曲であったことに納得する。昔のフロイドのブートにはこの曲がしばしばフィーチャーされていた。3分弱の演奏だが、この1曲のために本作を求めても惜しくはない。
その他、M2、9はハード・ロック風だし、比較的演奏時間の長いM8、11は「神秘」の続編のよう。私はいい意味で気張らずにフロイドが音作りをしたこのアルバムが結構好きだ。長いフロイドのキャリアの中で真っ先に聴くべきとは思わないが、フロイド・ファンなら是非おさえておきたい作品だ。