このアルバムはオールディーズのカバー集となっているだけでなく、ザ・バンドの他のスタジオ録音と比べると色々と変化が付けられていて面白い。まずドラムスの音の違い。リチャードマニュエルが5曲(Ain't Got No Home,Mystery Train,The Promised Land,Im' Ready,A Change Is Gonna Come)で叩いているのだ。特にLP時代にAB面のトップだった2曲(Ain't Got No Home, The Promised Land)では明らかにドラムスがRag Mama Ragしていて嬉しい。たたみ込むような変拍子が曲に独特のうねりを与えているのが解る。ガースのブギウギピアノとテナーにうまくシンクロする。代わりにリズムギター(Ain't Got No Home,The Promised Land)やベース(Mystery Train,A Change Is Gonna Come)にまわったレボンヘルムのプレイもとっても興味深い。へなへなのヘタウマリズムギターがとっても渋くて良い味を出してる。Mystery Trainではプレスリー風にスタンドアップベースも弾いていてモウタマリマセン。I'm Ready ではリチャードとのダブルドラムスも決める。レボンベースの二曲ではリックがアコーステイックギターを弾く。リラックスして録音に臨み、楽器も頻繁に持ち替えた彼らが本作で一体何を狙っていたのが推測できる。今までの作品と一線を画す新鮮な音造りが楽しい。リチャードは、グレイトプリテンダーとシェアヨーラブで飛びっきりのメランコリックでソウルフルなボーカルを聴かせてくれてもいる。あの「第3の男」までとびだし、メンバー全員ノリノリのレコーディングだったに違いない。だからこんなにアウトテイクもあったのだ。