ヴァージン・プリューンズのデビューは、ひたすら自分にとって脅威だった。リズムがあるかないような曲にメロディーを歌っていると思えないボーカル。にも増して、彼らの異様な出で立ち。破れた網タイツやドロドロに汚れたブラウスに、どうしてこんなに自分が惹かれるのだろう。彼らは、音楽をやる以前に、美とは何なのか、美しいことだけが美しいことなのか、という問い直しから全てを出発させたアート集団だったのである。
彼らの活動の痕跡を追いかけるのは困難だった。日本でリリースされたのは、ラフトレードの7インチ・シングルとIF I DIE, I DIEのみだったと思う。以後彼らは、ポジティブ・パンクとかゴシック・パンクにジャンル分けされていくことになるのだが、音楽の完成度が増していくことを喜びつつも、彼らの本質が変わっていっているのではないかと危惧もしていた。
音楽的にはまだ自分でもよくわからない。全部が好きかと聞かれたら、そうとは思えないと答えると思う。ドロドロした曲の中にはっとするフレーズや叫び、つぶやきがある。その一瞬が好きで、結局彼らを追い続けた。
中心人物はギャヴィン・フライデーとグッギである。この作品の前にグッギが脱退。彼らの公式リリースの最後(ライブを除く)となったLPで、以後活動は途絶えてしまう。音楽的にはピークだ。力強いリズム・セクションとカッコいいギター・カッティングの上をギャヴィンの奔放なボーカルが飛びまわる。呪術的なドラム・ン・ベースがこの作品で実現したかったことだろう。踊ることもできるが…プリューンズの場合、どうなのかねぇ。歌詞は主に孤独と妄想について。アブノーマルな性愛をほのめかすものもあるが、それが目的ではない。
アナログに収録されていなかった曲はDay of Ages。Our Love Will Last ForeverとThe Tortured Heartは、12インチでロング・バージョンが出ていたのでせっかくなら収録してほしかった。ちなみにThe Tortured Heartの12インチシングルがDon't Look Backだったのだ。