私にとってウォン・カーウァイとの出会いは、この「花様年華」だった。
とにかく、美しい映像に魅せられた。トニーとマギー、匂い立つように美しい男女の、心の揺れ、
そのストイックさに、より官能的なものを感じた。ラストシーン、トニーが最初何をしているのかわからず、でも、
土が詰め込まれた「穴」を見て・・・。それが何かを理解できたときに、ものすごく心が震えた。
そして極めつけはそのあとの字幕・・・
「思い出は、感じることはできても、決して触れることはできない」
・・・しばらく、その言葉に浸ってしまった。
このDVDには、特典映像として、未公開シーンが納められているが、これが、また、何ともいえない。
本編の続編といえる映像もあれば、観る側にとって、あいまいでミステリアスだった部分のベールが
剥がされた・・といえる映像もある。
映像としてはすごくいいし、観られてよかった・・・と思う。
が、その反面、観ない方がよかったかもしれないな~と思う気持ちも
拭いきれない。
シーンとしては、結構大事なシーンなのに・・と思うのだけれど、
監督は、これらのシーンを敢えて削ることで、作品を完成させ、作品に
よりミステリアスなムードを織り込んだ。
そして、観る側に「想像する」という作業をさせることで、「ストイックな官能」とでもいうべき作風を
作り上げたのではないだろうか。カーウァイ監督の「美学」を、そこに感じる。