Vanguard Jazz Orchestra(以下VJO)は、メル.ルイス.ジャズ.オーケストラの時代から各管楽器のリードプレイヤーが20年以上不動というジャズ史では非常に稀な結束力を誇るバンドでした。メル.ルイスが亡くなって現在のVJOになってからも変わらぬクォリティを維持できたのはこのメンバーの結束力による所が大きい。今回リードトランペットのアール.ガードナーが脱退し、トランペットセクションがほぼ総入れ替えという大幅なメンバー移動があった。しかもこの録音の直前に、やはり長くベーシストを務めたデニス.アーウィンが亡くなってしまい、新規加入のPhil Polombiが加わった陣容となった。収録された音楽はサド.ジョーンズとボブ.ブルックマイヤーを軸にした、いわゆる彼らが"VINTAGE"と呼ぶ譜面で、しかも永らく録音されてないものがずらりと並んだ。
すなわちこれはVJOはメンバーが変わってもこれからもこのスタイルを堅持し続ける、という意思表明みたいなアルバムなのです。若返った在籍期間の短いトランペットセクションと、全員在籍10年以上のサックス隊のコンビネーションは素晴らしい。ラッパ隊はテレル.スタッフォードとスコット.ウェンホルトという実績のある若手ソリストが加わり若いけれども厚みのあるセクションです。アール.ガードナー的な歌い回しはなくなってしまいましたが、考えてみればサドメルの時は譜面通りでむしろこのセクションに近い譜割りで吹いていたのだから、これはこれで良いでしょう。名手、ジョン.ライリーがメルを意識したセッティングとプレイをすることで、1965年のサドメル創設以来の雰囲気が面連と息づいている重厚なライブアルバムです。
ヴァンガードでライブ録音をしたものってのは昔はグラスの音が入ってたりして実にライブな臨場感があったのですが、今回の録音ではお客さんが非常に静かに聴いている感じがします。音楽以上に時代によるお客さんの質の変化を感じてしまいました。久しぶりに録音されたものが多いので、古くからのサドメルファンにも嬉しいサービス。
グラミー取れちゃいましたね。好きなバンドだからそれはそれで嬉しいけど、譜面そのものは昔からあるものなので、なんだかグラミーなのに功労賞みたいな感じがしちゃうのがなんか引っかかります。ま、受賞作を眺めてみると今年は全般的にジャズのレコードはあんまり面白い新譜がなかったという感じはしますが。