『Esoteric Romance』から一年空けずに出されたメジャー2ndアルバム。
前作ではメジャーという新たなフィールドへの迷いが感じられたが、今作はあらゆる意味で一皮剥けたヴィドールを垣間見ることが出来る。
全体を通してストレートな歌詞で、ボーカルが強めに出ているので聞き取りやすい。また、ラメ(ba.)作曲が多いのも特徴。
声の加工(IKAROSなど)や打ち込みも多く、お馴染み5弦ベースに加えて、ギル(gt.)は12弦ギターも使用しており(Eirene)、新しい試みもあったようだ。
優しく綺麗なメロディーが光っており、特にMemoriesは高音が美しい。
また、DarwinismやHot cage mixからはシャウトが一曲もないのにも関わらず、それを全く感じさせないハードな一面も覗く。
Hot cage mixに関しては、ジュイ(vo.)の言葉遊びもあって中々面白いだろう。
リマインドストーリー2は、言わずもがなインディーズ時代のリマインドストーリーの続編であるが、サブタイトル「初恋」の通り前作よりも前の出来事を描く。冒頭のアカペラは必見。
DVDに収録されているライヴ映像は、実際このライヴにいった身としては少し物足りない。
当初の120分よりも収録時間が短く、選曲も少々勿体無い気がする。
とは言っても定番曲は様々なDVDに収録されているのだし、そう考えるとこれはこれでアリかも、とも思える。
が、やはり掴みとしては弱いだろう。
昨年の夏はジュイの喉の調子が悪かった為、普段通りの歌唱力を期待するとがっかりしてしまうかもしれない。
ちなみに現在はすっかり回復しているので、力強く美しい歌声を聞くことが出来る。
一見大人しい印象を受けるかもしれないが、全体を通してライヴ映えする曲が多い。
所謂スルメ曲もたくさんあるので、初め物足りなく感じても、是非何回か聞いてみてほしい。
ヴィドールの曲全てに言えることであるが、聞けば聞くほど良さが見えてくる。
当初のコンセプトであったオカルトロマンスは見る影もない、という意見は多々あるが、「occult」は単なるグロテスクさだけでなく「秘密の、難解な、超自然的な」といった意味をもった単語である。
100以上の曲を生み出しているなか、ジュイの『汚いものを隠さない』スタンスはある意味『オカルトロマンス』だと言えるのではないだろうか。
世界は美しいものに隠された「陰」が多く存在する。それを肯定も否定もせず、ただ歌いあげるのは紛れもなくヴィドールの世界観だ。
根底に根付く精神は、結成当初からなんら変わらないのである。
兎にも角にも、「現在のヴィドール」を感じてみてほしい。