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とはいえ、デビュー作ならではの荒削りな魅力があるのも本作の特色だ。アメリカのラウドロックを思わせる猛々しい<2>のクライマックス、ノイズ・ダブと呼びたくなる<7>などは、サイケデリックと評される後年の作品にはないものだ。ゲストとしてアラブ・ストラップのエイダン・モファットが参加<8>。ダルなヴォーカルを披露し、彼らの門出に華を添えている。(山田次郎)
スチュアート・ブレイスウェイトによるこの言葉が、彼らの音楽を端的に言い表していると思います。本作はUKはグラスゴーにて結成されたモグワイが97年秋にリリースした衝撃と呼ぶに相応しいデビュー・アルバム、通称「富士銀行」(著作権問題により日本盤では消されている)97年のUKといえばブリット・ポップの狂騒も冷めやり、ムーブメントの中心にいたバンドが徐々に失速していった時期。イギリスとは不思議な国で、ポップミュージックの世界における爆発的ムーブメントが徐々に沈静化しようという時期に、シーンの中心とはまるでかけ離れた場所から、たびたびとんでもないアーティストが現れます。パンク後のジョイ・ディヴィジョン、サカンド・サマー・オブ・ラヴ後のマッシヴ・アタック・・・そしてブリット・ポップ後のモグワイ。彼らはみな、さながらシーンへのアンチ・テーゼの如く、冷ややかで鋭利なサウンドを携えていました。モグワイの音楽スタイルはインストを基調とするギター・ミュージック。(ほぼ歌がない代わりに、スピーチやテレビやラジオのアナウンス等のサンプリングを多用)ギター・リフを幾重にも重ねていき、ここぞというポイントで爆発的な(という言葉がぴったりな)轟音ノイズに振り切れていくというもの。彼らのライブではより顕著になりますが、モグワイの真骨頂は、超音圧のつんざくような轟音と、まるで教会音楽にも聞こえそうなほどの美しすぎるメロディとの相克。轟音の部分では、この二つの要素のどちらも損ねることなく、完璧なバランスで成り立たせています。このあたりの、一時期のシューゲイザー・バンドの多くに見られた特徴と、スティーヴ・アルビニのシェラックやスリントなどアメリカの実験的なハードコア・バンドのもつ、硬いリズムや、静と動の緊張感なども兼ね合わせた、まさにポストロックのオリジネイターにふさわしい、美しく、ダイナミックで、魂を揺さぶる音楽です。本作ラストを飾る「Mogwai Fear Satan」はライブでも定番の名曲なので必聴です。しかし最初から照準を合わせていたかのように、すでにこの時点でほぼ完成の域にまで達していたのは脅威ですね。2ndは轟音がやや後退し、音響にこだわった内容なので、より荒削りなラウド&サイケデリックなサウンドを求める方はこちらをどうぞ。
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