しかし、コンピレーションとしては優れている。そもそもスペイン音楽はジャズ的解釈を容易にさせるエッセンスをたくさん含んでおり、こういった味付けはチック・コリアがずいぶんと昔からやってきたことだ。マイルス・デイビスとの関連性という意味ではほとんど感じることのできない内容となっており、むしろベルデン監修の『マイルス・フロム・インディア』のほうが色濃い印象を受けたものだ。だからといって本作の芸術性が低いとか買う価値がないなどといっているのでは毛頭ないわけで、むしろマイルスという名前をちょっとだけ拝借したけど中身はオリジナルですよということ。マイルスの作品である『スケッチ・オブ・スペイン』を懐古的に再訪しつつマイルスに影響を受けた(受けていないジャズ系ミュージシャンは皆無であろうけれども)素晴らしいミュージシャンがいろいろやったよという記念碑的な作品でもある、と捉えると素直に本作を楽しめるのではないだろうか。