ミシェル・ペトルチアーニが、若干18歳の時に残した初リーダーアルバムです。
医者から20歳までしか生きられないと告げられた先天性疾患(骨系統)と言われている「大理石病」と闘いながら、自分の思いをすべて鍵盤にのせて表現しています。
音の瑞々しさ、時折感情の爆発とも言えるエモーショナルなタッチ、そしてビル・エヴァンスの再来と言われた抒情性。幅広い演奏スタイルがその特徴であり、魅力なのです。
この美しい音の繋がりを聴きながら、天は過酷な運命を彼に背負わせながら、生きて素晴らしい演奏を後世に残していく使命を与えたかのようです。常に死と隣り合わせで生きてきたわけですから、向き合う音楽もまた真剣です。
ジャズは気楽に聴くもの、と感じながらも、このジャケットの印象からくる「赤のペトルチアーニ」を聴く時は、衿を正して正対するという真摯な気持ちを持っています。それだけほとばしるような強いタッチに圧倒されるわけですが、決して乱れることなく、見事に音楽をリードしていきます。華麗とも言える粒立ちのよい音が連なっており、変幻自在とも言えるドライブ感はある種の快感となって伝わってきます。どこか陰影を感じさせる音楽もまた深みを与えている要因となっています。
1981年にエヴァンスが他界し、その年にペトルチアーニがこのアルバムを世に問うたことにも因縁を感じます。
1962年12月28日に生まれて、1999年1月6日に亡くなったペトルチアーニ(享年36歳)の短い人生ではありましたが、フランスだけでなく、世界中で彼の音楽を死後も愛されています。「酒とバラの日々」の演奏を聴き、他のミュージシャンでは聴くことの無いフレージングに接しながら、ジャズの奥深さにあらためて触れた思いです。