いわゆるクリスマスソングは、過去に多くのミュージシャンがいろんなアルバムを出している年末の西洋の最大イベントの歌である。それを中国伝統楽器で演奏するとどうなるかという発想は多くの人が思いついたはずだ。しかし実際には殆ど存在しないし、話題にもならない。
それは伝統楽器の音色によるものが原因の1つだ。西洋オーケストラ向けの明るい楽曲を演奏するとクリスマス独特の雰囲気が破綻するのである。例えるならば、芝居の過剰演技のようなものだ。楽器には向き不向きというものがある。
しかし、西洋POPSの要素も取り込んだ女子十二楽坊にはそんなことなど微塵もなく、完全に融合し自己完結して、むしろモダンクリスマスとしてとても新鮮に感じる。正に東洋と西洋の「音楽文化の融合」である。独特の演奏テクニック満載の伝統楽器の美しい音色が、これほどクリスマスソングに似合っているとは思わなかったと感じる人は多いはずだ。(特に琵琶のシャッフル演奏テクには驚嘆!)そして、聞けば聞くほどその魅力は増していく味わい深い新スタイルのクリスマスソングだ。
このアルバムは、このような誰もできなかった稀なことを女子十二楽坊というアンサンブル楽団がいとも簡単に(実は難しい)やり遂げているということを思い知るアルバムである。「自由(原曲:トルコ)」という中近東の曲がそうであったように。そして、女子十二楽坊というプロジェクトが底なしの実力と適応力を持つということを感じる1枚でもある。
惜しむらくは、クリスマスを象徴する鈴やベルのSE(効果音)等を何故積極的に使わなかったのかということだ。小さなことだが、これらのSEはさらに楽坊サウンドを際立て盛り上げたと思うのだが。