2009年を代表するアルバム、21世紀のペットサウンズと評判を受けていたので、聴かぬわけにはいかぬ、と思い購入。
他のレビューにはビーチボーイズやビートルズに例えられていますが、そのような音楽を思い描いていると肩透かしを食らうので注意。ビーチボーイズやビートルズはあくまでポップソングのマナーにのっとる基本線は崩さなかったわけで、初めからエレクトロニックで実験的なグループである彼らの場合とは立ち位置が違う気がします。敢えて比べるならビートルズではTomorrow Never Knowsやサージェントペパー期の一連のサイケデリックな楽曲、ビーチボーイズではSmileを思い浮かべます。
大風呂敷を広げたメロディーと構成、それを敢えてお約束の起承転結に展開せず、反復し、音に変化をつけていくことで、彼らのオリジナリティである浮遊感のあるサウンドになっています。個人的には、ビーチボーイズよりも、70年代のドイツのグループや、プログレッシヴロック、ニューウェーヴのバンド、そしてヒップホップやエレクトロニカのリズム感にさえ通じるものがありました。よって、60年代のフレーバーは思ったよりも少ない。実験的だけど、ボーカルが明るく親しみやすい声なので、そこまでシリアスにならないのもユニークなものです。
一度聴いただけでは、このグループの良さはわからないと思います。私も彼らの奔放で取り留めのない楽曲に戸惑いましたが、良く聞くと洗練度は以前の彼らのアルバムの非ではなく、"My Girls"をはじめ、聴けば聴くほど彼らのポップ性が浮き上がってきます。
今後、実験的なものを求めていくか、ポップサイドに傾いていくか。決まったフォーマットがない彼らだからこそ、次の展開が読めない。良い意味で、このアルバムが代表作になってほしくない。動向が非常に楽しみなグループです。