この本はいわゆる言語学の専門書ですが、言語学という枠を越えて、人間の創造性(クリエイティビティー)を解明する事をもくろんだ本です。
さて、皆さんは今まで、例えば「ダウンタウン」のネタが面白いと思っても、「何故」面白いのかという事を考えた事があるでしょうか?言語学という分野はかつては文法や語法を研究するというオカタイものでしたが、最近ではジョークの構造や皮肉の分析を行うのも言語学の一つの流れになりつつあります。本書はまさにこのような研究を行うための有効な道具立てを提供してくれます。ダウンタウン出演の某番組で、「長年スチワーデスをやっておられた松本さんに質問です」のような体裁のものがあります。このようなシチュエーションを「そんなわけない」といってしまえばそれまでですが、その場面を見た人はそれぞれに、「女性」であり飛行機の中で接客をする松本氏の姿を頭の中に描く事ができると思います。その状況と現実のギャップがこのネタを笑えるものにしているのです。
ここで挙げた「スチワーデスの松本氏がいる状況」が本書のタイトルであるところのメンタル・スペースなのです。
ここに挙げた例は、僕の独断によるメンタルスペース理論の応用例ですが、このようにメンタルスペース理論は様々な言語学外的現象といわれていたものを、一つの枠組みで捉えることを可能にしてくれます。
大学で言語学を専攻したものの、何をやっていいものか悩んでいるあなた、ぜひお勧めですよ。