日本ではあまり正当に評価されていないようですが、バディ・ホリーはエルヴィス以上にその後のポップ・ロックのあり方を決定付けた偉大な先駆者です。ビートルズをはじめとする、60年代の大きなロックンロールムーヴメントはバディ・ホリーから始まったといっても過言ではないと思います。ロカビリースタイルからいち早く脱却し、独自の道を進み始めた矢先に、あの悲劇的な飛行機事故で命を落としてしまったことは、まさにその時代の文化にとっての大きな損失だったと思います。(実際、その後の音楽シーンの中心はアメリカからイギリスにシフトして行きました。)
この3枚組みのCDは、その悲劇的な彼の死の50周年を記念して発売されたタイトルどおりのメモリアルコレクションです。内容はバディがまだロックンロールの洗礼を受ける以前のカントリースタイルから始まり、ニューヨークの自宅で、彼の短すぎる人生の最後にひとりで録音したデモテープまでを網羅した充実した内容になっています。曲目の構成も、なんのてらいもなく年代順に配置されているので、バディの音楽的な変遷を時系列にそって追いながら聴き進めることができるので、彼が徐々に自分のスタイルを確立し、発展させていった姿を実感することができます。
特に、後年のオーバーダブなしでバディの歌とギターだけで聴くPeggy Sue Got Married やLearning The Gameなどの最後の録音は、彼の息遣いやピックのスクラッチまでが聞こえてきて、泣けてくるほど感動的です。
また、ブックレットの内容も充実していて読み応えがあり、ちょっとしたバディ・ホリーの伝記のような内容になっています。所々に収録曲の裏話的な内容もあり、純粋に読み物としても楽しめますので、英語を解する方はぜひご一読あれ。レコーディングデータも参加ミュージシャンにいたるまでほぼ完璧に網羅しているのでデータとしても貴重なものになっていると思います。
バディ・ホリーを聴くのが初めての人でも、このCDを聴けば、きっと彼と彼の音楽が好きにならずにはいられないと思います。彼のロックンロールに対するピュアな情熱が伝わってくるはずです。ぼくはこのCDで改めてバディを聴き、ロックンロールってこんなに心地いい音楽だったんだっ!というとても爽快な感動を味わうことができました。こういう音楽をぜひ若い人たちに聞いてほしいな、と思います。