ケーブル式ショベルの歴史を、マリオン社の1884年の創業から記録したレトロな写真集だ。油圧を使わないと、鉄骨構造が細く直線的でシンプルなのが美しい。現代日本では見かけないだけに、どのケーブルの張力でショベルが動くのか、興味深い。白黒の作業風景は、どこか懐かしい。
20世紀初頭、同社は大型蒸気ショベルの90%のシェアを持った。機関車のように蒸気を噴き出す写真もある。マリオンの企業史は、ケーブル式ショベルの技術史でもあった。バックホー、ドラグライン、クラムシェル、クレーン、木材運搬車 と、ケーブル式ショベルの様々な写真が登場する。
マリオン社は、1997年に同じケーブル式ショベル専業メーカーのビサイラス社Bucyrus Internationalに買収され、百余年の歴史を終えた。さらにこのビサイラス社は2011年にキャタピラー社に買収されたため、今は世界最大の建機メーカーの一部になっている。しかし、今でもケーブル式のファンはいるらしく、ビサイラス社製ショベルの1/50のミニチュアには高値がついている。
本書では鉄道にも乗せられるような中型ショベルが中心だが、巨大ショベルを見たいなら、
Coal Mining Equipment at Work: Featuring the World Famous Mines and Mining Companies of Western Kentuckyが良い。第6章ではBucyrus Erie 3850-B(通称The Big Hog)、第7章ではMarion 5960(通称The Big Digger)が登場する。石炭採掘で使われたものだが、驚くほど巨大だ。ショベルが小型乗用車、クローラーの高さは人の身長の1.5人倍くらいある。
写真がメインなので、各ページ数行のキャプションに技術や企業史上の解説はない。建機史としては、
写真でたどる建設機械200年の方が良い。最新の油圧式の巨大建機を見たいなら、
Walking with Giants: Europe's Massive Earthmoversの方がお勧めだ。