現在ではルーツ・レゲエの最後の砦となってしまったのだろうか。DJ/ダンスホール・スタイルが隆盛して久しいこともあるが、ルーツ・レゲエ勢で近年も精力的に活動を続ける存在は、このバーニング・スピアーを始めとして数少なくなってしまった。そのバーニング・スピアーは現在まで非常に多くの作品を発表し続けているが、彼(彼ら)の代表作として真っ先に挙がるのは、やはり1975年にアイランドから発表された、通算3作目のLPに当たる本作“Marcus Garvey”をおいて他にないだろう。CDは1976年に発表されたそのダブ盤の“Garvey's Ghost”とのカップリング盤となっている。
ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのアイランド在籍時代の諸作が、当時の欧米のロック・シーンを意識して、ギターを意図的に強調したミックスとされていたことをご存知の人も多いだろうが、こちらはロック・シーンに対する意識や配慮など全くなく、完全なジャマイカ向け仕様に仕上がっていると言っていい。ズブズブに重々しく沈み込むリズム・セクションに、まさしくジャマイカン丸出しのヴォーカル/コーラスの味。ホーン・セクションのラインが印象的な、冒頭の表題曲のイントロが聴こえると「来た来た、これこれ!」と心躍らずにはいられない。本作を抜かしてしまってはルーツ・レゲエも何もあったものではない。プロデュースはジャック・ルビー、バックはホースマウス、チナ・スミス、アストン・バレット、ロビー・シェイクスピアなどによる鉄壁の演奏。ルーツ・レゲエに求める全ての要素は、本作に過不足なく全て揃っている。1〜10曲目が“Marcus Garvey”の本編で、以降がダブ盤“Garvey's Ghost”となるが、こちらのダブ盤のほうの奥底に潜む静かな不気味さにも、何ともスゴいものがある。