欧州ビジネスマンや欧州系雑誌(フィナンシャルタイムズ、エコノミスト誌等)によれば、ネスレ名誉会長のヘルムート・マウハー氏は、欧州においては最高の経営者の一人といわれすでに伝説の経営者の域にある人だという。同氏は、食品会社ネスレを世界最大の規模のグローバル企業へと育て上げた中興の祖である。
なお、当本(英文名:「Management Breviary」)は、発売以来、ドイツ語版、英語版、さらには中国版に訳され、待望の日本語版も登場している(日本語版は「マネジメント・バイブル」)。
当本のコンセプトは、同氏の実践・経験から得られた経営の核心部分を抽出し、「経営者のためのガイドブック」を作成することにある。マウハー氏によれば、「経営の本質・エッセンスをこの1冊でカバーできる」とのこと。対象読者は経営幹部および経営幹部を目指すビジネスマン。
当本の構成としては、経営者として意思決定しなければならない経営上の項目を列挙し、その意思決定する際に考慮すべき点が記述してある。以下に主な項目のうちいくつかを列挙する:
1)経営者とマネジャーの違いをまず理解すること。「リーダーは正しいことを行い、マネジャーは決められたことを正しく行う」。(ビジネスマンにとっては、まずこのリーダーとマネジャーの違いを認識した上で、「リーダーの視点・アタマ」で仕事することが求められていると深く感じる。)
2)経営戦略を策定するには7つの両極軸(長期VS短期、集中VS分散、販促重視VS抑制、多角化VS一点集中、ルール設定VS個人裁量、成果主義VS雇用保障、地域VSグローバル)が存在し、どこに落としどころを持っていくかが重要である。(なお、当本では、ネスレの経営戦略の策定の事例詳細が参考として記載されており、非常に興味深い。)
3)マーケティングは経営者の仕事である。広告からPR・IRに至るまで、マーケティングに関する最終的意思決定は経営者が行わなければならない。(ネスレはP&Gとともに、マーケティングにおいて世界最高峰の企業である。なぜネスレがマーケティングで卓越しえるのかが経営トップの視点から説明してある。マーケティングを強化したい企業にとっては必読。)
さらに、特に注目すべきは、同書の付録にある「ネスレにおけるマネジメントとリーダーシップの原則」。この7つの原則は同氏が経営者として成功するために欠かせないポイントを要約してあり、現ネスレ経営陣においても継承されているという。
将来、グローバル企業での活躍を志すビジネスマンや日本企業の経営者・経営幹部にとっては必読書であろう。