内容紹介
【セルフライナー】
1. Cabaret ~album ver.~
マキ凛花としてのパフォーマンステーマになっている大切な曲。ライザミネリ主演の映画キャバレーの主題歌。1930年代~40年代のドイツのキャバレーを舞台にひとりのシンガーがたくましく生きていく生き様を描いた作品。キャバレーと言えば現在では女の子が男性をもてなす場所というイメージが強いですが、元々のキャバレーの発祥はドイツに始まり、公ではないにしろ、戦時中のドイツで唯一言論の自由が認められる場所、人々が意見を交わす社交場としての意味合いも含まれるデカダンス的な場所として存在したようです。時には差別の対象となる「人とは違うこと」がこの場所では認められ、気兼ねなく自由に表現できる場所でした。現在よりももっとエンターテイメントが追求され、時には風刺的な意味合いを込めた演目も上演されたようです。私の今のスタイルに深く影響している曲で、とても愛してる曲なので1曲目に選びました。今回はマービンという新しく作り出したキャラクターとのスペシャルデュエットバージョン。私が二役演じてます。マービンは50年代~60年代にアメリカで流行ったキャラクター、チップマンクスのアルビンのパロディーキャラクター♪おもちゃ箱をひっくり返したような服部さんのキュートなアレンジサウンドがぴったりはまって超イチ押しの曲に仕上がりました♪♪
2. Anything Goes
コール・ポーター作曲のブロードウェイミュージカル「エニシング・ゴーズ」の主題歌。アメリカではポピュラーなミュージカルソング。スウィングでのカバーが多いですが、今回は敢えて50sを意識したツイストでカバーしました。
3. Bali Ha'i
ミュージカル「南太平洋」の主題歌。エキゾチックな雰囲気、女性的な雰囲気と不安定なコード感が好きで選びました。バリハイはバリハイ島のことですが、島=女性として比喩され、いつでもこの島=私のところに帰ってきてと男性を招き、受け入れている曲でもあります。
4. Diamonds Are A Girl's Best Friend
ミュージカル「紳士は金髪がお好き」の主題歌。マリリン・モンロー主演の映画が有名で、マキ凛花としてショーを始めるきっかけになった曲。服部氏のキュート&ドラマチックなサウンドアレンジが最高。
5. Happy Talk
ミュージカル「南太平洋」の中の曲。アナログな音で遊んでみたり、チェンバロやアコーディオンの音など他の曲には使っていない楽器がアレンジに入ってます。クラシックでポップでファンタジックな感じに仕上がっていてお気に入り曲のひとつ。6歳~12歳のかわいい女の子たちにゲストコーラスで参加してもらって、とってもキュートな曲に仕上がりました♪
6. Over The Rainbow
ミュージカル「オズの魔法使い」の中から。この曲は歌詞とメロディが最高にきれいな名曲なので、シンプルにピアノと歌だけで
アーティストについて
21世紀のモノ書きの悲しい習性で、まずはこの原稿を書き始めるにあたって“sings BROADWAY”でgoogle検索してみると----サラ・ヴォーン、エラ・フィッツジェラルド、ドリス・デイ、ブロッサム・ディアリーといった素晴らしい女性ジャズ歌手たちが1950~60年代に残した作品と並んで、このアルバムが出てきた。つまり本場のアメリカでも、ブロードウェイの名曲群に真っ向から取り組もうというシンガーは、ここ50年の間にほとんど存在しなくなってしまったということ。でも、音楽、映画、舞台などを通して20世紀に世界中の人々を魅了した米国エンタテインメントの原点にして最高に華やかなブロードウェイ・ミュージカルは、映画女優の歌に憧れ、ライブにおいても“魅せる”演出を欠かさないマキ凛花にとってエヴァーグリーンなルーツと呼べるものだ。とはいえ、活動を始めた頃から「ポップでキュート&ちょいセクシー」をキーワードに掲げ、王道のようで他には誰もやっていない世界をブレずに追求してきた彼女がほぼ3年ぶりに放つ本作は、先に挙げたジャズ・スタンダード集のような渋いタッチとは違う。もっと、部屋の片隅で忘れ去られていたオモチャ箱をひっくり返したようにファンタジックでドリーミー。オリジナルの映画や舞台で使用された、ジャズもポップスもラテンもクラシックもカントリーも奔放に入り乱れたエニシング・ゴーズ(=何でもアリ)な楽しさをそのまま現代的に再解釈したようなサウンドは、ブロードウェイ音楽本来の痛快で過剰な魅力を今に伝えてくれる。原曲の良さや歌われている内容を踏まえつつ、よりカラフルで効果的なアイデアを盛り込んだ服部正太郎のアレンジも、オリジナル・ヴァージョンに忠実なようで実はかなり違うので、機会があればぜひ聴き比べて楽しんでみて欲しい。最近ではヨーロッパやアメリカでもライブを行い、本作に収録された楽曲も金髪のウィッグを付けて(!)披露してきたというマキ凛花。そんな大胆なスタンスのまま海の向こうでも注目を集め始めた彼女にとって、もはや世代や国籍、あるいは細分化されたジャンルの壁なんてまったく意味を成さない。この極東の島国で録音された“ディスカヴァー・ブロードウェイ”な6曲入りのカヴァー集は、改めて“歌う女優”マキ凛花の魅力をより幅広い音楽ファンに伝えるものとなるだろう。
(ライター/吉本秀純)