「DIYの目的は、自分の人生を取り戻すこと」(帯のコピー文より)。安易にモノを買い続けるのではなく、できるだけ自分の手で作り、創意工夫を大事にし、そして何より「失敗を恐れないこと」が一貫して語られる、「ものづくりを通して生き方を考える」痛快なエッセイ集。
この本で紹介されている著者のDIYプロジェクトの数々は、農作物やニワトリやハチを育てることだったり、エスプレッソマシンのカスタマイズ改良だったり、楽器づくりだったり、果ては自分の子どもの教育を「学校=外注に任せっきりにせず、自前でやってみる」ということだったり、ありとあらゆる方面にわたっている。
そしてDIY精神の特徴でもある、「多様なリソース(資源)の共有」という意識が、この本に登場するあらゆる「DIY主義を楽しむ人々」のあいだできっちり実践されていることも見逃せない。自作を行ううえで、情報を惜しみなく提供し、そしてまた「失敗を恐れずチャレンジしよう」と励まし合う感覚は、ものづくりだけでなくもっと広く現代の日本社会にあっていいものではないかと思う。
なのでこの本を読むと、ときおり読者にとっては過剰とも言えるほど細かいディテールにこだわった説明文の嵐に少し面食らうこともあるかもしれないが、それはDIY主義が「情報リソースをシェアすること」を重要視しているがゆえ、と割り切って読むことをオススメする。大事なのはエスプレッソマシンの細かい機械的な説明を理解することではなく、ここまで徹底的に自分の体験したこと、行った作業、使った道具や機材をきっちりと説明したくなる「愛」を感じることにある。その「愛」はお金でモノを買うことでは決して解決されない、自分の手を動かしたことではじめて得られるステキな世界に通じている。