前作『LOVE』に出てきた佑多にカズヤ、カナシー、さらには新キャラを加えて、パワーアップした猫物語。といっても、古川日出男氏のことだから、動物愛護なんていう生やさしいものではなく、前作同様、かなりカッとんだ物語になっている。
古川ファン、かつネコ好きの自分は、五反田の猫を取り上げた前作も大のお気に入りだったけど、今作もまた、読む前からドキドキしてたが、その期待感は裏切られなかった。
今回の主人公は、人間ではなく、青山墓地で生まれたスタバというオス猫。彼は、青山界隈、港区のボス猫を次々と倒し、猫の王として君臨するだけではなく、雀から始まり、鳩、さらには凶暴なクチバシを持つハシブトガラスとの戦いを挑んでいく。いや、正確に言うと、それらの鳥類を野生のハンターとして、狩りの対象にしていく。
このスタバを中心に物語は展開する。猫笛を操るユウタ、俊足の少女、美余、性同一性障害障害の和美(和身)、変な芸術家、JIといった面々が、スタバに巻き込まれるようにして、物語は港区から、京都へと展開していく。
いやぁ、面白かった。『聖家族』ほど重々しさはないが、猫の走りにも似た軽快さで物語がめまぐるしく展開し、最後の大団円に向かうところは、やはり古川日出男らしい、疾走感の物語だ。