基本的にMTVのUnpluggedライヴは、どの音源もクオリティが高いものであるが、その中でもこのBabyfaceの"MTV Unplugged NYC 1997"に関して言うと、その中でも稀に見る名盤だと僕は思っている。丁度この時期のBabyfaceは、次々とプロデューサーとして成功を収めている渦中だっただけに、参加するゲスト陣もかなり豪華な顔ぶれだ。正直な話、参加しているゲスト全てが皆、Babyface自身よりも演奏や歌唱のレベルが高いから面白い。そしてそのゲスト達の勢いに触発されるかの如く、Babyface自身も本来以上のパフォーマンスをみせてくれているように思う。そういった、アーティスト同士のせめぎ合いというのも、この作品の魅力をさらに高めている要素の一つだと思う。
この作品を通して本当に実感する事は、やはりBabyfaceの作る曲というのは、どこか胸を突くような素晴らしい曲ばかりだという事。これといって目立った楽曲はあまりないけれど、どの曲も繊細でセンチメンタルなメロディで、じっくり堪能出来る楽曲ばかり。ゲスト陣の素晴らしい歌もとても映えるけれど、なんだかんだ言ってもBabyfaceの神経質そうな声で歌われる曲も魅力的に思う。作品全体を通して、あまりR&Bを聴かない人でも、気持ちよく聴ける内容だと思う。
最後に、これだけの素晴らしいライヴ音源にも関わらず一つだけ悔しい点がある。それは、1曲目の"Change the World"に関してだけれど、ライヴでは2番をEric Claptonが歌っていたのだけれど、この音源ではBabyfaceの後録りの歌に差し替えられている事。レコード会社や所属事務所の権利問題があったらしいのだけれど、そういった企業間のビジネスが介入してしまう事は、アーティストにとっても、ファンにとっても不本意な事のように思う。ただ、その残念な部分を補っても歴史に残る一枚と言っていいほど、素晴らしいアルバムだと思う。最後のStevie Wonderに関して言うと、もはや神懸っていると言っていい。