「MR.BRAIN」は警察庁科学警察研究所に所属する九十九龍介(木村拓哉)が脳科学を駆使して難事件を解決するミステリーである。
白眉は第6話「変人脳科学者VS悲劇の多重人格トリック!! 脳トレは嘘発見器!?」である。
第6話は15年前の誘拐事件に端を発する悲しい話である。第5話の後半から始まった事件が完結する。今回のテーマは多重人格であるが、仲間由紀恵の多重人格の演技には脱帽した。凶暴な別人格「俊介」は「ごくせん」でヤンクミを演じた賜物だが、表情だけで3つの人格を演じ分けたのは見事である。「ジキル博士とハイド氏」のように両極端な二重人格ならば想像しやすい。しかし3つの人格を演じ分けることは至難の業である。
真実を追求する九十九や刑事の丹原朋実(香川照之)にはやり切れなさが残る。それでも九十九の「どんなに辛い真実よりも隠されるよりはマシ」という台詞は感動的である。私は大手不動産会社から不利益事実(隣地建て替え)が隠された新築マンションをだまし売りされた経験がある。不利益事実の存在と同じくらい、不動産会社が不利益事実を説明されずに販売したことが許せなかった。この経験があるために九十九の台詞には大いに共感する。
「15年ぶりに見た空に感動し、それを奪った人達が許せなかった」という犯行動機にも納得できる。隣地建て替えにより記者のマンションは日中でも深夜の如く真っ暗となってしまった。その時の絶望感や無念さを知っているため、犯人の気持ちも多少は理解できる気がする。被害者が加害者になってしまう悲しさを実感した。