生まれて初めて歌を聞いて号泣した。
五年前、母は交通事故でなくなり、それから母の日は私と無縁の日になってしまった。生前の母は大学の先生だったので、とても厳しくて、成績は少しだけ下がってもすぐに原因を問われる。怒らないけれど二度と同じ間違えをしたらただでは済まない。私には生徒扱いみたいで先生以上厳しかった・・・と思っていた。学校が終わっても家に又先生が居ると感じてしまい、母のことはあまり好きじゃなかった。無論母の日にプレゼントを贈ったこともなかった。クラスには流行っているヘアスタイルにしたくても禁ずられ、「よその子はよその子。あんたは私の子だから駄目。」と言われ、そして断念。五年前私が十八のとき、電話で母の死を告げられたが、それはどんな意味をするのかさえ分かろうともせずに、涙も流さずに平然として葬式に行った、他人の葬式みたいに。
先週、ある音楽番組をみて、この「mother」を聞いた途端に、涙が勝手にぽろぽろこぼれてしまって、こんな自分に驚かされた。歌を聞いて泣いてしまうのが初めてで、そしてやっとわかった、歌を聞いて泣くのがということなんだって。共鳴したの。歌詞に書かれた出来事を私は全部やっていたし、それをきっかけで、頭の隅に捨てられ、覚えようともしなかった些細なことをはっきりと思い出した。思い出の欠片が纏まって、目の前に母の姿は映っている。母以上大切な人は居ないのに、何も言わずに私を支えてくれたのに、これほど優しく尊敬すべき母はもういないのに、家で厳しいけど、人に私のことを誇らしく喋っていた母だったのに、それを気付くのがなんでこんなに遅いの?!
もう二度と母の笑顔を見られない。もうこの世から母は姿を消した。もう母の日にプレゼントを贈れない。この歌を聞いてやっと気付いた。この歌を母に聞いて欲しかったってもう届かない。だから私にとって涙をこぼすしかなかった。だから私にとって最高の歌なんだ。