とりあえず現時点の最新刊21巻まで読んだ上でのレビューを書きます。
■舞台の時代について
大まかには、1〜4巻までが2010年くらいまでの現代。
これ以降は、所謂近未来へと舞台は移っていきます。
5〜17巻までは2010〜2020年代。
17〜21巻(現在)は更に10年程時代が経過し、第二部として、2030年代以降の物語となります。
■物語について
宇宙開闢ストーリーと、それを推進する人々のヒューマンドラマが主題です。
主人公はエベレスト登頂後、次の極地として月を目指し、
宇宙飛行士のなかでも、重機操作のスペシャリストとしての道を進みます。
まずは、月への足がかりとなる、宇宙ステーションの開発に従事、
続いて月の最初の設備を建設し、更に月面都市の建設へと時代は続きます。
この裏で、様々な人々の愛情や友情や思惑、子供の誕生、
内部の権力争いや、月の資源確保をめぐった大国同士の戦争、などが、物語を盛り上げます。
■よくある批判について
この作品は、航空工学・宇宙工学の描写について、欠点がよく指摘されています。
高卒〜一般的な大学生程度の物理学の知識がある人ならば、
読んでいて素直に「アレ?」と思う描写が多々あります。
現代とほぼ同じ時代の同じ技術、ほぼ同じ物理法則に従った世界観の中での
宇宙開闢が主題な世界の中であって、その宇宙開闢の最大の障害である物理法則や
人間的限界を如何にして解決するかという、最大の見せ場において、
一部分の物理的な現象などが現実と異なってしまっているがために、
その手の専門の人が読むと大変な違和感があるのだと思います。
全体としてその傾向がありますが、これが1〜2巻辺りで特に集中してでてくる為、
継続して読むにはマズ最初に大きな壁になる【人がいる】のは事実だと思います。
(分かってても『あくまで読み物』として軽くスルーできる人、
そもそも違和感に気付かない人にとっては、全く問題ないはずです)
■ようやく感想
1〜4巻あたりは、
(1)主人公の圧倒的・超人的な筋力による強引な問題解決が強調される点、
(2)意味もなくセックスの描写が多々描かれる点、
(3)上に書いたように、どうにも物理学・航空工学・宇宙工学的に違和感のある描写
が多く、かなりゲンナリしながらも、友人のススメだったので我慢して読みました。
4巻を過ぎると、(1)〜(2)については幾分そういった描写が和らぎ、読み進み易くなりました。
(3)についても2020年より先に関しては、「別な世界での話」として目をつぶる事ができました。
そうしてようやく『あくまで読み物』として楽しめるようになると、
物語の運び方と、次巻への期待の持たせ方が上手な作者なので、 最新刊が楽しみになるようになりました。