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10年ほど前に本作品を連載誌上で読み始め、この物語の虜になったことがあります。複雑怪異なストーリー展開、冷戦構造の生み出した悲劇、仮借のない暴力描写、医療を巡る倫理の問題。大人が読むに十分値する作品であり、手塚治虫マンガの正統な後継者ともいえる浦沢直樹の眼力と筆力に圧倒されたものです。
などと考えていたら、浦沢直樹は最近、手塚アトムの本歌取りともいえる作品に取り組み始めたと聞きました。そこで今一度浦沢の代表作であるこの物語世界を、歯を食いしばりながら突っ走ってみようと思い立ちました。まずは第1巻「ヘルDr.テンマ」では、事件の発端や主要登場人物の背景を無駄なくスピード感溢れる筆致で描き切る技量に驚嘆します。
ドイツが舞台ですが、若い読者にはぜひ1980年代から90年代にかけてのドイツ現代史についてある程度の知識を持って読み進めてほしいと思います。次のことはこの第1巻を読む上で最低限知っておいてください。
ベルリンの壁が89年まで存在したこと。
戦後の西ドイツ社会では「Gastarbeiter(客人労働者)」と呼ばれる主にトルコからの出稼ぎ労働者が多数存在し、その多くが社会的差別の対象とされていたこと。
ルンゲ警部の所属する連邦刑事庁BKA(Bundeskriminalamt)は連邦域内のみならず他国との間でも犯罪捜査に関して協力体制を確立していること。つまり本作品が今後ドイツ国境を越える規模の壮大な物語へと発展する端緒が既に見て取れるということです。
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