弘田三枝子といえば、1960年代当時のアイドルだったが、当時、弱冠16歳でニューポートジャズフェスティバルに単身ゲストシンガーとして出演、ネルソンリドルオーケストラをバックにして歌った伝説を持つ。
やがて「人形の家」など歌謡ポップス路線を行き、さらに傷害事件を起こしたことから芸能界を干されてしまった。普通なら渡米して活躍するところだろうが、彼女は地道に日本で歌手活動を続けた。かれこれ10年前の1997年に北九州で行ったジャズライブが本作品である。
彼女は天才のジャズ歌手と認識していたが、このライブでは当時50歳とは思えない声のつややかさ、それにも増してスタンダードジャズそのものへの思い入れと、上手さが伺える名盤といえそう。ライナーノーツによると、余分なエコーなどはカットのリマスタリングを行ったようで音質がいい。
日本で本当のジャズ歌手といえるのは伊藤君子ぐらいかと思ったいたが、先輩にMICOがいたのでした。まずリズムの乗りが違う。歌唱からスキャットに移行するジャズボーカル独特の雰囲気は現役の日本人ではなかなか出せない。英語の発音もいい。古いといえば古いジャズなんだが、味わい深い。
それから10年、彼女は還暦を越しても歌唱が衰えていない。影で凄い努力をした賜物なのだろう。尚この人の声は低音にも特徴があるので、ケイコ・リーと同じく高品位の音響装置で聴かないと魅力が半減する。