これまで知能というものは、たったひとつの指標「IQ」によって示されるものと信じられてきた。しかし、人はそれぞれ異なった能力を持っている。勉強ができる人もいれば、運動の得意な人、音感の良い人もいる。
著者は人間には7つの別個の知能が存在すると提唱している。それは、言語的知能(言葉を扱う)、論理数学的知能(数、記号、図形を扱う)、音楽的知能(リズムと音のパターンを扱う)、身体運動的知能(身体と運動を扱う)、空間的知能(イメージや映像を扱う)、対人的知能(他人とのコミュニケーションを扱う)、内省的知能(自己とその精神的リアリティーという内的側面を扱う)である。知能は単一ではなく、複数あるというのだ。
さらに著者は、この考え方を教育実践の場に応用するためのヒントを示している。読み、書き、計算などの学習というのは著者の目標である「理解のための教育」を達成するための手段でしかない。従来の精神測定学IQ(知能検査によって具体化される数値)はこの先もなくなることはないだろうが、MI理論に基づいて、さまざまな知能を認め、お互いに補い合うことが、教育学の発展にもつながると述べている。数値だけでは測れない人間の可能性を見いだすための、価値ある1冊である。(冴木なお)
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