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そのリクルートの歴史の中で、『伝説の男』と
呼ばれている男が書いた仕事術の本。
「とらばーゆ」「フロム・エー」「じゃらん」などのメディアを20年間で14つも開発し、その名をリクルートに刻んだ。
この本のくだりは面白い。
売れるものをつくるコツは、
『ちゃんとふつうに生活すること』とある。
「なんじゃそれ?」と思うなかれ、
その根底にあるのは、当たり前のことなのに、なるほどっと思わせる視点が。
「ちゃんとふつうに生活する」というのは、ちゃんと消費者としての意識をもって生活を送るということ。
例えば、あなたが何気なく朝牛乳を飲むとき、その手に持った牛乳を良く見てください。そこには商品があり、ブランドがある。あなたは、一体どのような考えでその牛乳を選んだのでしょう?
「妻が選んだから・・」「安かったから・・」
そう、そこには理由があるはずなんですが、なかなか皆さん忙しいのできちんと考えていない。
これでは、自分の会社の商品を売るときに、消費者の気持ちなんて分かりっこない!
「あなたが日々消費者としてきちんと意識をしているか」、この視点なくしては、売れるものが作れるわけがない。
だからこそ、「ちゃんと普通に生活すること」が
必要なんです。
こうやって言われると、「なるほど!」と思ってしまう。そういう本です。
この本は、「仕事術」というタイトルから、ノウハウ本と思われがちですが、読んでみると、中身は「プロジェクトX」なみの感動話がたくさん盛り込まれています。
「とらばーゆ」開発に秘められた裏話、「じゃらん」という名称になった理由、「フロム・エー」では経営会議でボコボコになった裏話 など、リクルートとは、ここまで仕事に熱くなれるのか!と驚くような話がたくさん詰まっていました。
そして、この本を読んで思うのは、「くらたまなぶ」という人間は、不器用ながら、しかし、たくましく、ゼロから何かを作り出すために全身全霊を尽くした男だということ。
MBAなどで教わる「マーケティング」なんていうものは、うわべだけの概念や、きれいなカタカナ用語の意味を教わるだけのものに過ぎなく感じる。
この本では、「マーケティング」とは、「人の気持ちを知ること」とある。この概念なくして、今日のリクルートの成長はありえなかったのではないだろうか。
ビジネス本の多くは「マーケティングとは、個人や組織の目標を満足させる交換を創造するための・・・」と、わけの分からんことを定義している。いわゆる、実践不向きな本だ。勉強のための勉強本といったところだろう。
だが、この本は「くらたまなぶ」という1人の人間が、実際にリクルートという会社で成功を収めた実話をもとに作ったノウハウ本だ。
そこには、実践でしか分かりえない苦労や、発見、そして、ひらめきが見え隠れしている。
ぜひ、興味があったら読んでみてください。
仕事と遊びを区別せず、リクルートという、創発的な社風の
なかで、自由な発想で、のびのびと、しかし、
試行錯誤と苦悶と自分をギリギリまで追い込んで、
独創的な仕事を成し遂げた著者の熱意が伝わってきて、
読む方も自然と熱くなってきます。
雑誌の創刊を、何度も、出産にたとえているところから、
苦労のほどがしのばれます。
でも、形式や原理にとらわれない姿勢が、かえって、くらたさんが
自ら実践して学んだ経験知、暗黙知と
いう、くらたさんしかわからない「何か」を、
他者に伝えることの難しさ、もどかしさも伝わってきる気がします。
印象深いのは、あとがきに出てくる、
『価値を生み出せないものは、結果としての利潤も生み出せない。』
『ロマンがなければ、ソロバンも成り立たない』
という言葉。肝に銘じたいところです。
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