amazonさんの紹介文にある収録話は、以前に発行されたワイド版5巻の内容です。
そして、これまでのレビューの中には、単行本当時のレビューを移しているので、完全版では3・4巻収録の話のレビューが書かれている。こういうのは、気を配って欲しいです。
さて、正しい紹介だが、完全版第5巻は、単行本の第7巻と第8巻前半の12話を収録している。
そして、極めて残念なことだが、キートンの中で最も激しい戦闘と深い人間描写そして息つく間もない終盤の攻防は、おそらく最終駅ソードもしのぐ、ベストの出来であろう「豹の檻」から始まる5部作の最終話が、次の巻に持ち越されている。
いまさら、5巻だけ買う人も、6巻は買わない人もいないだろうが、一気に読みたかった。
本巻は、5部作のうち4話を収録しているだけでなく、エルザ・ランチェスターとデビッド・ボビッドの各前後篇も収録したことで一話完結エピソードは、完全版でおそらく最小の4話にとどまる。但し、エルザ・ランチェスターの話は、純粋なホラーサスペンスとして上等な仕上がりになっており、いい意味で前後篇らしさがない。
これに対して、デビッド・ボビッドの話は、前後篇におさまらないようなフォークランドの爪痕のエグさが強く心に響く。英軍という、日本や米国あるいはドイツといった我々にメジャーでない存在だからこそ、より生々しい軍の醜さを、この話を境にキートンでは徐々に描いて行くことになる。
そして、5部作だが、5部ならではの構成で、最初の1話は完全なダシになっていて、王族とイラク最強の戦士を持ち出すだけの世界を描きだすためだけに使っている。そして、「カルーンの鷲」の異名を持つラジー少将がキートン以上の戦士・軍師であることを2・3話で丹念に描き出し、そして彼が持ちキートンが持たない武力の違いにキートンが挑む4話と、読者には最後まで期待が高まり続ける中で、5話のある6巻を読むことになる。