この巻では、後になって色々な作品が日本でも作られる「誘拐交渉人」としてキートンが登場する「交渉人のルール」「身代金のルール」が一つの看板商品とは思う。本作では、複数回にまたがる話ではタイトルに共通の言葉を持たせる。この話では「ルール」だ。キートンは言う「人間同士のルールを破ったこの犯罪から(ご主人)を助け出さなきゃ」しかし、一方で言う「(誘拐にも)ルールは無いようで実は存在する」このギリギリのルールの中で、キートンらしい常道×奇策が着実に交渉を進めて行く。こういう小説に仕立てても十分通用する出来栄えを、マンガらしい効果で描くことで一層完成度を高めるのが 本作の看板だろう。
しかし、単行本の5巻を一部含むことで、この巻のベストは「白い女神」だろう。どうしても残る男性社会の中で、男性以上に優れた生き方をしぬく女性がこの話では何人も出てくる。キートンの学友だったアンナ、その母、そして、島の有力者の母親、生き方は三者三様だが何れもが「いい女」の何たるかを教えてくれる。当然だが、その生き方は、男性にとっても大切なものばかりだ。
そして、続けて読むことの面白さは、キートンのライバル?として準レギュラーとなる有名なハードボイルド探偵の初登場回、タイトルも彼の名をとった「チャーリー」で分かる。ここで描かれるチャーリーとマンマの関係は、「白い女神」で示された女の生き方、男の生き方を踏まえることで一層面白くなる。
こうした本来は別個の完結したストーリー同士から何かの気付きやつながりを見つけることは楽しいし、そうした楽しさを含有した作品は優れた作品だと思う。そうした点は、「喜びの壁」と「家族の瞬間」の特に終盤を読み重ねることで、キートンを通じて生き方を考えるといったことにつながるだろう。