カッコイイ。もう文句なしに「intro」「Rhythm Reflection」のスタートに心躍る。そしてたて続けにR&B「愛の歌」が吹いてきて、ダンスモードの気分がメロウなゴールドに染みてくる。
歌の上手さなど彼女の前ではもう、当たり前のようにして聴いてしまっている空気もスゴイ。歌を聴く耳を鍛えさせられる。「あの夏のままで」は彼女らしい拍の長いバラード。だがMISIAでしかあの情緒感は出せないだろう。それは技術によるところがやはり大きい。仮に同じ曲想を他の歌手が思い浮かべたとしても、それをOUTPUTするハードの性能が違うからだ。他の歌手ならこうもたっぷり、滑らかには歌えずに小節の頭・ブレスの次などで、一回一回よいしょと出力し直さなければならなくなるだろう。そのうちエネルギー切れだ。だが彼女はずっと息を流し続けることができるのだ。枯れない泉のように、どんどんどんどん余裕で声が湧き出してくる。みずみずしいままに。
一方「時をとめて」もファルセットで音域の広さにびっくりする、やはり技術面で驚く曲だ。しかし中低音域で内省的な表現ができている点は、もっとしっかり注目したい。そこが安定してるからこそ、その後の飛び道具にも驚かされるわけで、中低音をしっかり奏でる基本は聴いていて素敵だ。名曲「Everything」もその点がしっかりしている。
色々技術面ばかり注目してしまった。しかし彼女の良さは技術だけではないと思う。昨今女声シーンはR&B中心に“巧い”歌手が多い。だが技術屋に終らず、イメージたっぷりの世界観や歌心を内に湛えた歌手は案外少ない。技術の前にその深さ溢れた歌手だけで貴重だし、それを技術の裏づけで自由に描けるので、他とは違う染み方のする声なのだと思う。