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ソングライターの田中拡邦を中心とするスリーピースバンドの1stアルバム。60~70年代のアメリカン・ポップスを中心にブルースやボサノヴァのフレイヴァーをセンス良く散りばめた楽曲、歌をしっかり聴かせることに心を砕いたサウンド・アレンジ、深い表現力をたたえた演奏技術。あまりにも高い完成度を誇るこの作品は、90年代の渋谷系がついに到達することのできなかった「時代を超えた普遍的なポップ・ミュージック」を完璧に体現している。しかも、本作がリリースされたとき、田中はまだ20代前半。天才とは、こういう人のことを言うのでしょう。(森 朋之)
内容(「CDジャーナル」データベースより)
出しゃばらず大げさにせず普遍的であらんとする心意気が、柔らかなサウンドとともに、押し付けがましくなく届いてくるのも好ましいファースト・フル・アルバム。“はっぴいえんど”からの影響ばかりが着目されがちな彼らだが、ボサ・ノヴァ風(2)など、引き出しも多い。★
内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
「春雨道中」を聴いたとき、ちょっといい感じだった。このちょっといい、というのが素敵に思えた。それはきっと、身振り手振りが大きくなくて、大切なものをきちんと大切に扱う心根のようなものが伝わってきたからだと思う。キリンジを初めて聴いたときもそうだったが、爽やかで、清々しいぶんだけ、その背後に時の流れが感じられるような歌であり、演奏でもある。例えば、日本のはっぴいえんどを含めて、米国の南部音楽からブラジルのボサ・ノヴァに映画音楽まで、それらの木々から飛び散った小さな葉が、風に漂いながら、幾多の季節を潜り抜け、気がついてみたら、すぐそこの窓の向こうで歌になって舞っていた、というような驚き。しかも、窓の外の景色はすっかり変わっていて、すいぶん遠くまできたんだなあと、ぼくなんかはしんみりさせられる。田中拡邦、江口直樹、山田潤一郎の3人組。都会の雑踏にすんなり溶け込めず、むしろぎこちなく、ときには立ち止まるような息遣いも、ぼくは好きだ。 (天辰保文) --- 2002年10月号