浅川マキはアルバムでしか聴いていなかった。なぜかベストアルバムという印象がないアーティストだった。待望の復刻CDの中でも、特に待っていたこのライブ盤、毎晩これを聞いて寝るのが日課になりそうだ。しかし、このライブほど、浅川マキのエッセンスが詰まっている作品もないだろう。当時、その日に聞いた人がうらやましい。自分にとっては、無為無策で焦熱と悔恨の70年代だったが、今これを聞くと、くっきりと70年代のある日が甦る。何の虚飾もなく、ただの学生だった、何をして良いか分からない毎日、その頃を思い出させるこの作品群、これ以外に意味のある音楽が、2011年の日本にあるだろうか。歌手、浅川マキは、まさにその一人にふさわしい。
このライブの中の曲は、すべて「70年代の子守唄」である。