絶妙のタイミングで“太宰治が登場”します。
この作品がまさに、現代の「人間失格」というのも、うなずけることです。
非正規労働が常態化し、将来への展望が持てない中、現代文明に立脚した社会・経済システムは、庶民の些細な不安から地球環境問題に至るまで、何一つ解決できません。
でも、そんな時代にも、人はひとりの男か、あるいは女として生きていくしかありません。
そしてそこにも、恋愛、結婚、そしてセックスをめぐるさまざまな抑圧が――。
この作品は、今までジェンダーや性的少数者の問題について研究を重ねてきた著者が、突然イロモノ小説に転身したわけでは決してないです。
むしろ、そういう蓄積を読みやすい形でリライトすることで、わたしたちに21世紀を生きるヒントを示しているのだと思います。
生きづらさを感じるすべての人、必読!
あの秋葉原の彼も、これを読んでいればあんな凶行に及ばずにすんだかも……。