エラ・フィッツジェラルドのスウィング感溢れるスキャットを思う存分聴くことができるアルバムです。1945年から1955年にかけて録音されたもので、彼女が27歳から37歳の頃という、歌手としてどんどん成長していく過程の歌唱で、物凄く歌が巧いなあ、と感じさせる曲が多いのに驚きました。
モノラル録音ですし、SPの時代ですが、その割には録音状態が良かったのは有り難かったです。
冒頭の「Lullaby of Birdland」の堂々とした歌い上げ方は、後のヴァーヴ時代の先駆とも言える雰囲気を醸し出しています。ジャズ・ヴォーカリストの大御所と呼ばれる前の時代ですが、その貫禄たっぷりの歌唱は聴きものでした。
一番驚いたのは、彼女の十八番とも言えるスキャットの巧さを堪能できる「Oh, Lady Be Good!」でしょうか。テンポの速い曲ですが、声を楽器のように自由にあやつり、軽やかに音程の乱れも全くなく、完璧に3分間、歌い続けています。聴いていて生理的な快感を伴う歌唱と出会うことはあまりありませんが、これには恐れ入りましたね。エラ29歳、バッグのボブ・ハガード・オーケストラを圧倒するような魅力に溢れているような絶品です。「史上最高の女性ジャズ・シンガー」との呼び声の高さも伊達ではありません。
8曲目の「How High the Moon?」の前半の歌い方はステキな歌唱でしたが、後半のノリの良さもまた特筆ものです。ここでもスキャットの巧さが光ります。アド・リヴなのでしょうが、気分が爽快になる歌でした。
続く「Basin Street Blues」で歌われているサッチモの物まねは非常に上手でしたね。女性が男性の物真似をするだけでも拍手ものなのですが、ここまで巧みにその歌唱法っていうのは真似できるものなのですね。それだけ卓越した歌唱能力を持ち備えている歌手なのはすぐに理解できましたが。