ルシアンは有名な精神分析学者ジークムント・フロイトの孫らしいが、いかにも人間精神を削岩しそうな冷徹な人物画(肖像画)が多い。
近作はフランシス・ベイコンの絵とオーギュスト・ルノワールの絵を足して2で割ったような独自のスタイルにいたっていることがわかる。
ベイコンの歪みとルノワールの豊かさとが同居するところに、人間像のより均衡の取れた存在様態があると言わんばかりだ。
ところで本書掲載の解説論文は凡庸で、ほとんど読むに値しない。もっとまともな人選をすべきである。せっかくみごとな画集が、この凡庸な解説で台無しではないか。