これより後は「ダイア・ストレイツ」の名前であっても事実上は「マーク・ノップラー・プロジェクト」。本作はデビューからのメンバーで成し遂げた最高の作品となった。
表題曲である Love Over Gold はちょっと出来すぎといえるほどの出来栄えであり、これはジャズ・フュージョンの楽曲としても傑出している。こんなに美しい楽曲は全音楽ジャンルをみてもそうあるものではない。静かな、満月の光が薄氷の湖に映りだされるような透明感あふれる音世界でありながら、ノップラ-の歌のあと後半徐々に盛り上がり最後に頂点、クライマクスを迎える。そして闇の中にスーっと消えていく。このエンディングの美しさは筆舌につくしがたい。
この一曲だけでも充分に「買い」だが、Private Investigations はその後ライヴの定番ともなる名曲である。そして14分に及ぶ大叙事詩ともいうべき Telegraph Road は圧巻だ。次から次へと美しい情景を描きだしながら最後はノップラーの終わることのないギター・ソロで幕となる。彼のレコーディング中、このギターが最高の演奏ではないだろうか?
僕はこのアルバムを発表と同時に購入した。当時高校生であったが狂ったように聴きまくった。そして東京での来日公演に足を運んだことも覚えている(Alchemy として発表されたツアー)。そしていまでもこの作品の魅力は失われていない。