カーンの住宅に接近するためには、とりわけ図面を参照しながら時間をかけて読み解くことがどうしても必要になる。その緊密なプロポーションの構成、思慮深く練り上げられた空間の充実、そして年月を経て現在もなおみずみずしさを失わないマテリアルの取り合わせ、どれをとっても表面的に眺めるだけではとらえることのできない深さを持っている。四季折々の豊かさを見せる美しい写真とともに各種の図面が丁寧に折り込まれ、たとえばフィッシャー邸ひとつのために実に60ページを費やすという、まさに徹底的なドキュメントである。一つひとつのページをめくるたびカーンの建築の圧倒的な密度にあらためて驚かされるだろう。
同時に感嘆せざるを得ないのは、建てられてから50年近くを経たカーンの20件の住宅が丁寧にメンテナンスされて今もなお美しい姿を保っていることだ。そこには確かに愛されている建築の姿がある。多くの建築家の住宅が歴史に翻弄されあるいはトラブルに巻き込まれ、残念な姿を見ることは決して少なくない。しかしここに集められたカーンの住宅の状態の良さには驚くべきものがある。とりわけフィッシャー夫妻が建設当時を振り返って語るコトバは建築の幸福とでも言うべきなにかを雄弁に物語っているだろう。カーンはそれを与ええたし、彼らはそれを享受できた。そして本書において、読者はその片鱗に触れることができるはずだ。(日埜直彦)
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建築論では難解な部分も多かったのですが、この本において
彼の家に対する思想が十分に感じとることができました。
また、ソーク生物研究所において、ルイス・バラガンに相談を
したことは有名ですが、そのいきさつについても書かれていたり、
ノーマン&フィッシャーによる出会いから製作過程なども
掲載されていて、とても読み応えのある本だと思います。
彼の素材に対する思いや、空間の構成は詩的で美しく感じます。
ルイス・カーンが好きな方にはぜひ、お勧めしたい一冊です。
1ルイス・カーン氏の住宅に住宅論とか小難しいテキストは必要ないと思います。俯瞰からディテールまでの写真と適度な大きさの図面があって、目にした人それぞれがそれらから想いを感じ取る・・・それだけで十分です。贅沢ですが、もっと写真と図面を載せてほしかったです。
2かなりのヴォリュームの本ですが、あえてソフトカバーにして単価を安くしてほしかったです。この本は建築の専門家だけでなく、広く一般の人々に目を通して頂きたい本だと思います。建築家の書棚に収まっているだけではもったいなさ過ぎます。
苦言を呈してしまいましたが、「あえて」です。素晴らしい本であることに変わりはありません。素晴らしいお仕事に感謝!
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