ソフィア・コッポラの監督第2作「ロスト・イン・トランスレーション」のサントラ。前作「ヴァージン・スーサイズ」同様、女性の視点で進行する繊細な物語と、どこかはかなげできれいな映像が魅力的な映画だが、サントラも見事な出来ばえで、彼女の映画作りにおける全てに行き届いた思慮深さとセンスの良さにはいつも驚かされる。
東京を舞台に、ひとりの若き女性の孤独とつかの間の恋を描くとあって、テクノ系のインストが大半を占めるが、それらがネオンきらめくコンクリートジャングルの夜の雰囲気によくマッチしている。SQUAREPUSHERやDEATH IN VEGASら大物の楽曲提供が豪華。そして何よりの話題は、MY BLOODY VALENTINEのフロントマン・Kevin Shieldsの新曲が収められていることだろう。新境地を見せるインスト3曲に、優しくゆがんだギタープレイ健在の「歌もの」1曲・"City Girl"というラインナップは、ここ10年来、表舞台から姿を消していたひとりの天才ミュージシャンの堂々のカムバックを高らかに告げるものである。
主人公がタクシーから流れてゆく東京の街の景色を眺める時に流れる、MY BLOODY VALENTINE/"Sometimes"や、ラストの別れのシーンで使われるTHE JESUS & MARY CHAIN/"Just Like Honey"など、一組の男女の短い逢瀬を通して心に響いてくる、出会いと別れの切なさを象徴するかのような名曲の数々は、人間関係における、泣きたくなるほど美しいものを、おぼろげながらも聴くものに垣間見せてくれる。