レイチェル・ウォレスとスペンサー。マッチョなスペンサーと女性解放論者でレズビアンのレイチェル・ウォレス。ふつうなら相容れないであろう二人が、ぶつかりあいながらも友情を結んでいく過程が、パーカーの淡々とした筆で描かれている。
「初秋」のポールもそうだが、パーカーは登場人物をよく泣かせる。そして、この涙が、彼らを縛っているものから解放し、別の人間に生まれ変わるような作用を果たしているように思う。この作品の中でもレイチェルとパーカーが抱き合って泣く場面が出てくるが、この涙が彼らの中にある偏見や頑な心、そういったものを全て洗い流し、新たな友情を結んだ証となっているのである。
全く考え方の違う人間同士が互いを認めあい、友情を結ぶことは難しいかもしれない。特に自分を持っている人間ほど、自分を変えることはより難しくなるだろう。しかし、そうしたことをすべて乗り越えた人の姿は美しくも清々しい。このシリーズの中では、スペンサーとホーク、ポール、レイチェル(スーザンも含めてよいか?)と、人種や年齢、信条の違いを乗り越えて、互いに認め、尊重しあう姿が多く描かれる。この姿こそが、このシリーズ全体を通してのテーマなのかもしれない。