1988年発表、当時はまだジェネシフィーバー覚めやらずで、前作も大ヒットし、時代に追い風が吹いていた。前作のヒットからくるプレッシャーも感じさせず、高品質な作品を発表するところにベテランの余裕を感じるというか、前作に見られたどこかで聞いたことがあるようなメロディ曲がなくなり、全体的にはアルバムジャケットのイメージ通りの(アルバムジャケットが何を意図するのかいまだに謎だが)シリアスな仕上がりに圧倒された。ジェネシスに漂うフィルコリンズのエンタメ性が希薄で、曲構成も当時最先端な硬質なもので、80年代後半の作品としてはしぶい大人の音楽という仕上がりになっている。大ヒットした2はツアー中に亡くなった父親に捧げたという曲でポールキャラックがボーカルをとり全米NO1ヒットを記録した。他にも歌詞に毛沢東やニクソンが出てきて当時の30代以降のアメリカ人の共感を誘う内容の3、歌詞と曲が泣かせる4、dont say dontという歌詞が笑わせるが大人の男女の微妙な距離や関係を歌った7、映画のような戦争をテーマにした10、サラリーマン社会の苦悩のような1、6など捨て曲が見当たらない。捨て曲があるとすればフィルコリンズとトニーバンクスの参加したジェネシスのこぼれ曲のような8か? キラーカットはシングルにならなかった9、3rdシングルは絶対この曲だろうと思っていたのに、3rdはなぜか3だった。9はかっこいい曲なのになぜと感じたジェネシスファンは多かったのではないか? この次のワードオブマウスも出来はいいが、この作品に比べるとやや薄味だ。本作品はメカニックスの作品の中でももっとも濃厚な作品といえるだろう。